2021年6月の評価ミッションで、タイ食品医薬品局の職員と話し合うWHOの評価担当者。写真:WHO
医薬品やその他の医療用品へのアクセス向上は、公衆衛生上の重要な優先課題であると同時に、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)に根本的に欠かせない条件でもあります。各国の規制制度は、医薬品、ワクチン、血液や血液製剤、さらには体外診断薬を含む医療機器など、あらゆる医療製品の安全性と品質、有効性を評価、監視しています。しかし、世界保健機関(WHO)の推計によると、全世界の規制当局のうち、医薬品やワクチンその他の医療製品の安全性と有効性の確保に必要な機能すべてを担うのに十分な能力を備えているものは、30%にも達していません。
医療製品の品質が標準以下であったり、その生産、保管または輸送が不適切であったり、偽造や不正な使用または乱用があったりする場合には、公衆衛生にとって大きなリスクとなるばかりか、入院や死に至るおそれさえあります。
過去数十年間にわたり、WHO「規制システム強化(Regulatory Systems Strengthening)」プログラムは、充実した技術支援モデルを開発、精緻化してきましたが、このモデルには、標準的ツールとして「グローバル・ベンチマーキング・ツール(GBT)」を利用した規制システムと機能の評価、および、各国が規制上の効果的監督を実施できるよう援助することを目的とした制度開発計画(IDPs)の2要素が盛り込まれています。IDPsは、政府による投資と、WHOやその他の開発パートナーによる技術援助の提供に際して参考や指針となる青写真を提供しています。IDPsはGBT指標と組み合わせた形で、進捗を監視、促進するための客観的ベースラインも提供します。
近年は新規医療技術のアクセスと提供に関するパートナーシップ(Access and Delivery Partnership:ADP)と連携する形で、多くのADP重点国の国家規制当局が、大幅な能力改善を遂げていますが、これはWHOのベンチマーキング・プロセスによっても裏づけられています。
ガーナ、インド、インドネシア、タンザニアおよびタイの国家規制当局は、ワクチン規制制度につき成熟度レベル3(レベル4が最高)に達しています。うち、タンザニアとガーナの2か国は、医薬品とワクチン双方の規制制度につき、成熟度レベル3を達成しました。
成熟度レベル3は、安定的で正しく機能する統合的な規制制度の存在を裏付けています。つまり、これらの国々は近年、GBTによる評価に基づくWHOのガイダンスに従って、医療システム内の医療製品の高い品質と安全性を確保し、意図した健康効果を実現するために大幅な改善を遂げているのです。
特筆すべきは、タンザニアとガーナの2か国が、アフリカで初めてこの水準に達したということです。
さらに最近では、2021年9月に、タイもこの水準に達しました。タイ食品医薬品局(FDA)は長年にわたり、特に「予防接種拡大計画」で子どもに投与される10種のワクチンにつき、国内需要の増大に対応するため、ワクチンに関する規制制度を充実させてきました。この改善は、国内で生産されたワクチンを輸出し、地域と全世界のワクチン供給に貢献できる、信頼度の高い認可機関としての役割を果たすというタイの意欲を反映するものでもあります。タイでは、FDAの成熟度向上を医薬品やその他の医療用品に拡大しようとする取り組みも加速しています。
さらに、ADPは現在、ブータン、ブルキナファソ、マラウイおよびセネガルの国家規制当局についても、IDPsの策定と実施の支援を行っています。
WHO, ‘WHO Global Benchmarking Tool (GBT) for evaluation of national regulatory systems’
WHO, ‘List of National Regulatory Authorities (NRAs) operating at maturity level 3 and maturity level 4’
WHO, ‘Manual for benchmarking of the national regulatory system of medical products and formulation of institutional development plans’, February 2021
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